「今日は一日プログレ三昧3」トラックリスト

Sep 23(Mon),2013 12:15~22:45
二度あることは三度ある…おつかれさまでした。
(BGMの部分等の不明部分は「?」表記にしてあります。情報ありましたら是非…。)

第一部(12:15~18:50)

★Adrian Belew, Tony Levinコメント
OP: King Crimson/Larks' Tongues in Aspic pt.3 (Three of a Perfect Pair,UK,1984)
OP2: National Health/Tenemos Roads(National Health,UK,1978)


◆ゲストスターレス高嶋登場
1.Mike Oldfield/Tubular Bells Part One (Tubular Bells,UK,1973)


◆ゲスト岩本晃市郎登場
2.King Crimson/Red (Red,UK,1974)


◆ガイダンス プログレッシヴ・ロックとは足し算の音楽なり(岩本晃市郎)
ロック+クラシック
3.Emerson, Lake & Palmer/Promenade (Pictures at an Exhibition,UK,1971)

ロック+ジャズ
4.Soft Machine/Out-Bloody-Rageous (Third,UK,1970)

ロック+トラッド
5.Jethro Tull/Witch's Promise (Living in the Past,UK,1970)

6.Mauro Pagani/Europa Minor (Mauro Pagani,Italy,1978)

ロックと現代音楽
7.Area/Area 5(Crac!,Italy,1975)


★Mauro Pagani メッセージ
・BGM: ?
8.PFM/E' Festa (Storia di un Minuto,Italy,1971)


9.Yes/Heart of a Sunrise(Fragile,UK,1971)

10.Curved Air/It Happened Today (Live,UK,1975)

11.Gentle Giant/The Advent of Panurge (Octopus,UK,1972)

12.四人囃子/一触即発 (一触即発,Japan,1974)


◆A Young Person's Guide to Progressive Rock
13.Steve Hackett/Everyday (Spectral Mornings,UK,1979)

14.King Crimson/Lament (Starless and Bible Black,UK,1973)

15.Van der Graaf Generator/Lost (H to He Who Am the Only One,UK,1970)

16.Emerson, Lake & Palmer/Tarkus-Eruption- (Tarkus,UK,1971)

17.Dream Theater/Breaking All Illusions (Dramatic Turn of Events,US,2011)

18.Focus/Hocus Popus[Live] (Live at the Rainbow,Netherlands,1973)

19.Genesis/Dancing with a Moonlit Knight (Selling England by the Pound,UK,1973)


★Alberto Radius(Formula 3) メッセージ
・BGM: Formula 3/ (,Italy,)
20.Formula 3/L'ultima Foglia (Sognando E Risognando,Italy,1972)


21.Duncan Mackay/No Return (Score,UK,1977)

22-1.Frank Zappa/Peaches En Regalia (Hot Rats,US,1969)

22-2.Frank Zappa/Peaches En Regalia (Hot Rats,US,1969/1987)

23.Trace/King-Bird (Birds,Netherlands,1975)


プログレ諸国漫遊3
24.Osiris/Struggle to Survive (Osiris,Bahrein,1982)

25.Collegium Musicum/Mikrokozmos[live] (Marian Varga & Collegium Musicum,Slovakia,1975)

26.Czeslaw Niemen/Aerumnarum Plenus (Człowiek Jam Niewdzięczny,Poland,1971)


27.Pink Floyd/One of These Days (Meddle,UK,1971)

28.Emerson, Lake & Powell/The Score (Emerson, Lake & Powell,UK,1986)


★Michael Rother メッセージ
・BGM: Neu! ?
29.Harmonia/Monza (Rauf und Runter) (Deluxe,Germany,1975)

30.Can/Future Days (Future Days,Germany,1973)


31.Oranges & Lemons/Raspberry Heaven (空耳ケーキ/Raspberry Heaven,Japan,2002)

32.美狂乱/トラスト・ミー part1 (魁!!クロマティ高校 オリジナルサウンドトラック,Japan,2004)
33.美狂乱/激しいペールギュント(魁!!クロマティ高校 オリジナルサウンドトラック,Japan,2004)


◆狂気のプログレミックス(illicit tsuboi)
34.Prog Mix by illicit tsuboi
 ・Jungle Brothers(Crazy Wisdom Masters)/???(Troopin' on the Down,US,1993)
 ・Yes/5 percent for Nothing (Fragile,UK,1972)
 ・BJ4/El Condor Pasa (???,Bolivia,19??)
 ・Savoy/La Voievozi Cu Gîndul (Lied Cu Fluturi,Romania,1977)
 ・I Califfi/Varius (Fiore di Metallo,Italy,1973)
 ・Tabula Rasa/Nyt Maalaan Elämää (Tabula Rasa,Finland,1975)
 ・King Crimson/21st Century Schizoid Man (In the Court of Crimson King,UK,1969)
 ・Flower Travelling Band/21st Century Schizoid Man (Anywhere,Japan/UK,1970)
 ・Suck/21st Century Schizoid Man (Time to Suck,South Africa/UK,1970)


35.Rick Wakeman/Madrigal, Catherine Parr, Merlin the Magician[live] (An Evening of Yes Music Plus,UK,1993)


★The Artaud Beats(John Greaves, Chris Cutler, Geoff Leigh, Yumi Hara Cawkwell) メッセージ
・BGM: Henry Cow?
36.Henry Cow/Bittern Storm over Ulm (Unrest,UK,1974)

37.Univers Zero/Parade (Uzed,Bergium,1984)


38.Moon Safari/Diamonds (Himlabacken vol.1,Sweden,2013)

39.Judy Dyble/Harpsong (Talking with Strangers,UK,2009)

40.加藤登紀子/Casablanca Moon(Ethnic Dance 〜ゆらめく異邦人〜,Japan/UK,1986)


第二部(19:20~22:45)

Bill Bruford メッセージ
・BGM: Bruford/Feels Good to Me(Feels Good to Me,UK,1977)


栗コーダーカルテットwith Progresive Rock Giants ライブ
41.Emerson, Lake & Palmer/Jerusalem(Brain Salad Surgery,UK,1974)
 [アレンジ:栗原正己]
42.King Crimson/Larks' Tongues in Aspic Part2 (Lark's Tongues in Aspic,UK,1973)
 [アレンジ:近藤研二]
43.Jethro Tull/Witch's Promise (Living in the Past,UK,1970)
 [アレンジ:川口義之]
44.Pink Floyd/Us and Them (Dark Side of the Moon,UK,1973)
 [アレンジ:関島岳郎]
45.Kraftwerk/Trans-Europe Express (Trans-Europa Express,Germany,1977)
 [アレンジ:川口義之]
46.Focus/Hocus Pocus (Moving Waves,Netherlands,1971)
 [アレンジ:栗原正己]
47.Gentle Giant/Think of Me with Kindness (Octopus,UK,1972)
 [アレンジ:栗原正己]
48.Yes/Roundabout (Fragile,UK,1972)
 [アレンジ:関島岳郎]


★Ares Tavolazzi(Area) メッセージ
・BGM: ???
49.Area/Luglio, Agosto, Settembre (Nero) (Arbeit Macht Frei,Italy,1973)


栗コーダーカルテットメンバー登場
50.Hawkwind/ Assault and Battery/The Golden Void (Warrior on the Edge of Time,UK,1975)


51.Anekdoten/Ricochet (Gravity,Sweden,2004)

52.Big Big Train/Judas Unrepentant (English Electric Part One,UK,2012)


53.Gordon Haskell/How Wonderful You Are (Harry's Bar,UK,2002)

54.Dave Sinclair/The Little Things (The Little Things,UK,2013)


55.1973前半メドレー
 ・Rick Wakeman/Catherine Parr (Six Wives of Henry VIII,UK,1973)

 ・Camel/Throw Yourself Down (Camel,UK,1973)

 ・Pink Floyd/Money (Dark Side of the Moon,UK,1973)
 ・King Crimson/Easy Money (Larks' Tongues in Aspic,UK,1973)
 ・Tangerine Dream/Atem (Atem,Germany,1973)
 ・Curved Air/Armin (Air Cut,UK,1973)

 ・Yes/Opening(Excerpt from "Firebird Suite") (Yessongs,UK,1973)
 ・Mike Oldfield/Tubular Bells Part Two (Tubular Bells,UK,1973)
 ・Gong/Pot Head Pixies (Flying Teapot,France,1973)
 ・Gryphon/Jeniper Sweet (Gryphon,UK,1973)


56.1973年下半期メドレー
 ・Jethro Tull/Passion Play Part One (Passion Play,UK,1973)
 ・Badger/Wheel of Fortune (One Live Badger,UK,1973)
 ・Henry Cow/Nirvana for Mice (Leg End,UK,1973)
 ・Gentle Giant/The Runaway (In a Glass House,UK,1973)
 ・Genesis/I Know What I Like(in Your Wardrobe) (Selling England by the Pound,UK,1973)
 ・Renaissance/On the Frontier (Ashes Are Burning,UK,1973)
 ・Focus/Sylvia (Live at the Rainbow,UK,1973)
 ・PFM/River of Life (Photos of Ghosts,Italy,1973)
 ・Emerson, Lake & Palmer/Karn Evil 1st Impression-Part2 (Brain Salad Surgery,UK,1973)
 ・Yes/Ritual - Nous Sommes Du Soleil (Tales from Topographic Oceans,UK,1973)


57.Magma/Nrbehr Gudahtt (Mekanïk Destruktïẁ Kommandöh,France,1973)
58.Magma/Mekanïk Kommandöh (Mekanïk Destruktïẁ Kommandöh,France,1973)


◆Comus メッセージ
・BGM: Comus/Songs from Comus (First Utterance,UK,1971)
59.Comus/Diana (First Utterance,UK,1971)


60.Pablo el Enterrador/Paper's Elephants (Pablo "El Enterrador",Argentina,1983)


61.Peter Banks/Out of Our Hands (Mark I,UK,1973/1996)

62.Kevin Ayers/Song for Insane Times (Joy of a Toy,UK,1969)


◆Steve Hackett メッセージ(弾き語り)
63.Genesis/Musical Box (Nursery Cryme,UK,1971)


ED: Yes?

中谷美紀/食物連鎖(1996)


憂いが松葉杖をつきながらぎこちなくやってくる。
そして憂いはその陰を隠さずにうっすらと光の射す方向へ近づいてくるけれど、それは決して光の下には現れない。
その陰、暗がりは決して照らされることがない。
艶かしさを兼ね備えたその暗がりに鷲掴みにされたまま、ただ引き摺られるばかりで引き摺られた後の傷でさえ愛おしくなるからこれがまた不思議なのだけれど、兎にも角にも為す術が無い。
快感を伴ったこの傷は背徳的で、だからこそ甘美だ。


Rating: ★★★★★


相対性理論/TOWN AGE(2013)


相対性理論というポップアイコン。あるいはかつてそうだったもの。
でも2013年においては相対性理論はまだポップアイコンで居続けていると言えるのだろうか?
相対性理論が放っていた光はどこかボケている。端的に言えばキレがない。どこか散漫でインパクトに欠ける。相変わらずやくしまるえつこの独特の言葉のセンスにはいくらか安心するのだけれど、でも聴こえる曲を掬ったそばから、それは手からはするりと零れ落ちていってしまう。


タウンページ(TOWN PAGE)から抜け落ちた"P"は一体なんだったのだろう。
"Pop"の"P"? あるいは?
安定感はあるし、メロディもやはり相対性理論節と言えるものだ。でも何かが足りない。そう、"Piece"が抜け落ちている。みんなが期待する相対性理論のその枠からはみ出しているようには思えないのだ。
決して聴いて失望したりするわけではないのだけれど、でも無表情な声で、滑らかなようでどこかざらついた言葉でいつの間にか抉られるような、あの面白さはここにはない。真新しさもない。テンポ良くやくしまるえつこは歌うけれど、聴く僕はふわふわとしたままだ。


このアルバムはどこかさみしいアルバムだとおもう。噛み続けているのに味がしないガムを噛んでいるようなそんな感覚なのかもしれない。
それでも期待してしまうのだ。だからこそさみしいという感覚が起こることを知っている。さみしいけれど、またいつとも知れない次のアルバムをどこかふわふわとしたままで僕は待っている。


Rating: ★★★☆☆


スカート / Live at Shibuya WWW "月光密造の夜" (2012)


澤部渡主宰のポップバンド スカートによる初のライヴ盤。
耳を確かに撫でるヴォーカルが聴こえる。ゾクゾクする。息づかいが、歓声が、嬌声が、聴こえる。ドキドキする。

何もかもを圧倒する若さと勢いがそこにはある。ピッチは時に外れている。歌詞だって間違えている。でもそれは取るに足らない瑣末なこと。作品全体が勢いと臨場感に包まれている。勢いというものは恐ろしい。優しい顔をして全てをなぎ倒すように進んでいくのだ。

佐久間裕太のパワフルなドラムが確かなリズムを刻み、静かな顔をした清水瑶志郎のベースが跳ね、表情を変えない佐藤優介のキーボードは雨音のように踊る。そしてその中心に澤部渡の存在がある。彼の指が作り出すギターサウンドは優しく、甘やかに尖る。心の奥のやわらかい部分をそっと、そして強くつかまれたら最後。戻っては来られない。聴くものを惹きつけてやまないそのヴォーカルは映像作品でないにもかかわらず、その表情さえ伝えてくる。声を張り上げればその興奮をそのまま感じさせ、ライヴの高まりと演奏の高まりは強烈な印象を残す。

いつだって青年の紡ぎだすポップソングはいつも気前が良く、サービス精神には惜しみがなくて、気持ちがいい。「ストーリー」から始まるだけで既に心をとらわれて、ライブの定番「おばけのピアノ」も広い会場に響き渡る。イベントと同名の「月光密造の夜」は夏夜に小気味よくスイングしているし、しっとりと歌い上げられる「魔女」に、会場の雰囲気を引き連れて突き進む「スウィッチ」。最後にメンバー紹介をするところも、なぜか学歴順に紹介してしまうあたり、ハイテンションに身を任せている感じがしていて、もうライヴの興奮そのままなのだ。

スカートの勢いをそのままに、暑い夏の熱いパフォーマンスがパッケージされている。老若男女問わず必携の極上ポップライヴがここにある。


Rating: ★★★★★

深水チエ / MIF or MIA

milk in first. 突然の科学的証明なんて野暮ったいわ!
(tr.6 milk in first)

Milk in first or milk in after? That is not the question.
この作品の前には科学的証明など瑣末な問題でしかない。


キレイなのに、箱庭にいるはずなのに、少女の世界はとてもいびつだ。
角度を少し変えると、放つ光の色はすぐに変わってしまう。
静かな海にたゆたっているようなのに、実は穏やかに荒れている。
少女の世界はあまりにも気まぐれで、底が知れない。好奇心を持って覗いたら最後、そこからどうやって抜け出したらいいのだろう。
落ちていくように昇っているのか、昇っているように落ちているのか。上下の感覚がなくなっていく。左右の感覚が溶け落ちていく。
雨の日、晴れの日、曇りの日。空の色が分からない。ただ分からないのだ。
しかし作品にはバロックな物語が通底している。この歪みが自分に入り込むのを許容できたとき、作品は初めて自分の快さとして滲み込んでくる。その感覚は何にも代え難い。


言葉と音楽というのは兎角その相性を問われることが多いけれども、音を音のまま受け止めることを余儀なくされる作品というものの存在を肯定するならば、この作品はそういった作品の一つなのだろう。
掴もうとすると零れる。零れたものが自分の中に拡がる。そういった状態が確かに感覚としてあって、歓びと哀しみが同時に駆け抜けていく感覚とでもいうのだろうか。どうにも喩えようがない。


聴き終えたとき、少女の掌の上でただ踊っていただけなのかもしれない、そう思って、もう一度再生ボタンを押した。もう一度踊ってもいいだろう。


Rating: ★★★★★

KOSZONTO / 聖誕祭の朝、僕は王と対峙する -Fair Doomsday-

僕は、10000曲作れる人よりも、10000回聴ける1曲を作れる人が好きです。takezou氏(@Studio_kurage)や、Leggysalad氏(@kevin327g)は間違い無く、後者のアーティストです。

 (KOSZONTO主宰 伊藤巧氏のtwitterより)


この作品を聴いたときの感覚は初めて自分で買ったCDを再生機に突っ込んだときのあの感覚に似ている(レコードを針に落としたときのあの感覚、と言いたいが残念ながら僕はアナログ世代ではない)。
再生ボタンを押した瞬間、いきなり世界へと引き込まれ、作品の情景が立ち昇る。優しさと力強さと気高さに満たされた冒頭曲Tr1"Edge of the World / 世界の果て (NEW HERO〜新たな英雄)"。初めてYesの危機(Close to the Edge,1972)を聴いたときをなぜか思い出した。しかし、2012年の今、聴こえてくる鳥の囀りはずっと爽やかでもっと軽やかなもの。そして何より圧倒的な多幸感がそこにある。新たな英雄が歩き出す瞬間。
音を立てて物語は動き出す。Tr2"Kantokotor / 天上の湖 (NOWHERE〜どこでもないところ)"。体が震えた。なんと怖ろしいメロディと歌声なのだろう。心を奪われるとはこういうことか。foolenさんの歌声を今まで知らなかったことを後悔した。そして圧倒的な音楽の前ではただただ涙が零れるだけなのだということを知った。ただ英雄は行軍していくのではない。ゲームではない現実がそこにはあって逃げようも無い。すべてを受け容れるほかない主人公がそこにはいる。それはおそらく僕たちも同じなのだ。
Tr3"Inkar / 眺望 (WHERE NOW〜ここからどこへ)"。静寂の歌は唐突だ。この人だと分かる深水チエさんのヴォーカルとエレクトロアンビエントのスローバラード。Tr2の作詞はfoolenさん、Tr3の作詞は深水さんであり、異なる二人の作詞の曲が連続するにも拘わらず、全く違和感無く作品世界は構成されている。Tr2が「動」なら、Tr3はまさしく「静」。絶対的な対立軸で表現するのは小心者の僕には怖いが、こう表現するほか無い。
時計が針を刻むようなリズムとミニマルなピアノとストリングスに彩られた、takezouさんによるTr2のアレンジ、Tr4"Rebirth / 再誕 (NOW HERE〜今、ここ) – “Kantokotor” reconstructed ver."にて再度物語は提示され、作品は幕を下ろす。しかし、聖誕祭の朝に王と対峙した「僕」の物語は無論終わるのではなく、これからも続いていくのだ。再び朝はやってくるし、そこからは逃れられない。


王は倒される存在なのか、永遠に倒すことなどできない存在としてそこに君臨する存在なのか、それともただそこに存在しているだけなのか。ジャケットからもHPで見ることのできるフラッシュからも答えは一概には導き出せない。ただ「僕」はただ何も考えずに立ち向かっていくのではなく、あらゆるものを受け容れて血を流しながら進んでいかなければならない。それだけは確かなのではないか。


この作品がこの世に出てよかった。僕にとってこの作品は救いでさえあるかもしれない。
彼は物凄い作品をプロデュースしたのだと思います。
気づかぬ間に何度でもリピートしていて気付くと日が暮れている。元気をもらえるメロディなのに、背中を押されている気がするのに気付けば泣いている。
掛け値なしに極上の、最高の作品です。


Rating: ★★★★★

悠木碧/プティパ(2012)


アトラクションのような、テーマパーク感溢れる小さなおとぎ話。ドリーミィなポップチューンM1は甘いマカロンが似合うようなティータイムに。少年のような凛々しさと可愛らしさが混ざり合うアップテンポチューンM2、アリスをテーマにしたM5はキュートな中に棘があり思わずドキッとさせられる。
夢みがちな中にもどこか翳りのある可愛らしさ、元気で快活な凛々しさ、朗々と歌う澄んだ声。ヴォーカルの使い分けも意識しているようで、声の表情に起伏があって飽きが来ない。


bermei.inazawa、DECO*27を起用した楽曲のクオリティは流石だが、楽曲の流れ・統一性という観点からはいまひとつという印象。しかし、作曲陣とその楽曲の配され方には思わずニヤリとさせられる。岩里祐穂中野愛子の詞が作品をメルヘンにさせているようで、メロディと溶け合って耳先で甘くとろける心地よさがある。ふわふわとしているのに、決して地に足が付いていないというわけではないのだ。甘いだけではなくスパイスが効いている。不思議。


Rating: ★★★★☆