Comus/To Keep from Crying


UK,1974


1stの後のメンバー交代を経て第2期メンバーとなっての2nd。violinとfluteという1stにおいてサウンドの大きな要となっていたメンバーが脱退、1stのカラーとはまったく違うといえる。むしろ狂ったような暗めのサウンドとフォーク色は薄まり、突然のポップ色の強さに戸惑うのかもしれない。ただ明らかに1stのヒステリカルな暴力性よりも明るめのサウンドの中で、どこかネジが外れたような感覚を覚えずにはいられない。


M1:Down(Like a Movie Star)は1stとは打って変わってポップな色が強い。軽快なリズムとはいえどRoger Woottonのvocalは健在なのでポップとはいってもどこかひねている。M2:Touch Downは"I Love You"なんて1stのサウンドからは想像も付かない歌詞が出てくる。静かなアコギとヴォーカルの絡みが絶妙なスローバラード。と思ったらM3:Waves and Cavesで狂気をちらつかせながら突然長調に転じてM4:Figure in Your Dreams。線の細い女性ヴォーカルが帰ってくるマリンバが印象的な狂ったように明るいメロディ。M5:Children of the Universは1stからは想像もつかなかったゆったりバラード。コーラスが美しくどこか漂っているような感覚。吹っ切れたような軽快なリズムのM7、グルーヴ感に加えてヴォーカルの力強さが目立つM8、アルバムと同タイトルのM9はどこか物憂げでアルバムは幕を閉じる。


1stを聴いた後に2ndを聴くと明るいメロディが多いためにある意味不気味に聴こえるかもしれない。でも不思議とこの曲調の明るさには引き込まれずにはいられないし、ちらちらと見せる狂気と2ndを全体的に貫く明るめのメロディは背中合わせであろうことを想像させる。その危ういところに成り立っているアルバムだからこその魅力がこの作品にはあるのだ。


Rating: 88/100