Comus/First Utterance


UK,1970


UKアシッドフォークロックバンドComusの1st。
アコギ・バイオリン・フルート・パーカッションで作り出される妖艶なフォーク・ロック。牧歌的な面を一瞬垣間見せながらも呪術的な雰囲気と時に暴力的なアコースティックな音が大半を占める。当時売れずにこの1stが出た直後に一度解散したらしいがアクが強すぎたのか。躁と鬱を繰り返すようなこのジェットコースター感は一度聴いたら抜け出せなくなりそうな薬物のように妖しい魅力を放っている。


以下各曲鑑賞。
アコースティックで妖しい雰囲気で始まるM1:Diana。折れそうな女性コーラスに始まって中盤のバイオリンソロを抜けると曲は加速。さらに呪術的度合いを強めていく。この線の細い女性コーラスは全編を通してフォーキーな音と共に曲を引っ張っていく。ラストのDianaとひたすら歌うところは呪詛とさえ思える。M2:The Heraldは日本のお化けが好きそうなイントロに始まって全編を通してアコギの音が印象的な12分。恐怖感漂うのかと思えば哀愁も漂わせながらどこか牧歌的なメロディも見せたりと、黒い雲がやがて薄雲になり薄日が差しているような情景を想起させる。M3:Drip Dripも狂気じみたRoger Woottonのヴォーカルが冴える。フォーキーな音に加えてパーカッションが強力にこの一風変わったフォークを演出し引っ張っている。M4:Song from Comusは狂ったようなヴォーカルと狂ったようにかき鳴らされるギターとリフレインのようなヴォーカルパートでおどろおどろしさ再び。バイオリンでさえも狂い出す。終盤のパートはフィナーレへと突き進み、曲の冒頭のリフレインするヴォーカルで幕を閉じる。M6:Bittenは不安にさせる旋律でバイオリンが突き進みながらKing CrimsonSoft Machineのジャジーなインプロを思わせるインスト曲。と思いきやM7:The Prisonerは再び薄日が射したようなメロディへ。最後はステレオを右に左に移動するヴォーカルコーラスで突然の幕切れ。


Rating: 86/100