Riverside/Anno Domini High Definition

Poland, 2009
ロディアスなメタルサウンドプログレッシヴ・メタルの入門的作品かもしれない。キーボードが際立っていてギターと絡み合うサウンドは絶妙。一方ですっきりした音作りであるからかパンチには欠けると言えるかも。


美しいピアノの旋律から突然ヘヴィなサウンドとメロディへ雪崩れ込むM1:Hyperactive。冒頭に相応しい勢いを持ちながらkeyが妖しげなメロディを添える。そしてM2:Driven to DestructionはPorcupine Treeとも思えるような乾いたギターピッキングで始まり、ピアノと流麗なギターが絡み合いながら進行していく。シャウトを挟みながらのvocalは時に爆発的であり、ギターソロも熱い。というかこれは完全にSteven Wilson直系のサウンドか。Porcupine Treeよりもサウンドは分厚いけど。M3:Egoist Hedonistは中盤のsaxがジャズ的でもありビッグバンド的なアプローチであるけど、曲展開はめまぐるしく忙しい一曲。M4:Left Outはここまでの「動」中心に攻めてきた流れから一転、「静」へと変化。静と動がはっきりしながらラストM5へとリフが突き進む。M5:Hybrid TimesはM1をもう一度想起させるピアノで始まり、のっけからvocalがのったと思ったらヘヴィなグルーヴへと飲み込まれる。このヘヴィネスを維持したまま曲は進行。"Obsession!"と叫ぶ憑かれたようなvocalも良い。drumとkeyにguitarがのりながらシーケンシャルなサウンドが絡みつく。そしてそこにさらに追い打ちをかけるようなギターソロも熱い。捉えどころがないようなするすると流れていく曲変化なのになぜだか飽きさせない。


結論からいうとこれRiversideだっけ?という印象。正直なところ1stしか聴いていないのでプログレの印象が強かったのだけどこれはプログレッシヴ・メタルの方に大きく針が振れてると思う。Dream Theaterのようでもあり、時に乾いたギターはPorcupine Treeのようでもある。どこか捉えどころない音作りなんだけどなぜだかかっこよくまとまっているそんな1枚。


Rating: 92/100