「美しいロック」とは何ぞや

Procol Harum

Procol Harum

Procol Harum/Same(UK,1967/2009)


Procol Harumの1st。ほぼ40周年記念リマスター。
この1st、クラシックをそのまま引用しているところもある。Procol Harumといえば「青い影(A Whiter Shade of Pale)」。この曲のメロディラインが「G線上のアリア」に似ているのは有名。この曲はあくまでもシングルであって1stアルバムには収録されていない。最終曲Repent Walpurgisもクラシック引用。でもそこも含めて「美しいロック」と言えるのではないかと。ただクラシック的な手法だからではない。この時代にロックの可能性を狭めることなく既に拡げていたことがもう先進的だったのかもしれない。何が「美しい」かなんてそうそう言えるものではないし、個人的にはどうしてもチープに見えてしまう言葉ではあるんだがチープでもこれが個人的にこのアルバムを形容すべき言葉。その手法がその音色が「美しい」のだ。
クラシックを使うことでロックではないという向きもプログレに対する批判としてよく出てくる批判ではあるけどそんなもの聴衆が判断するんだから批判を受けようと支持者がいる限りそれはロックなのですよ、おそらく。ファッションとしてのロック、思想としてのロック、音楽的な方法論や手法としてのロック、どこかに片足だけでも踏んでいるならどれかの項目に全て当てはまらなくてもロックは成立しうるものであると思う。*1クラシックであろうとジャズであろうとそれを取り込めてしまうのがロックなのであり、だからこそ他の音楽との境界は曖昧にはなりがちなのだけどそれだけ多様な面を見せてくれるのがこのロックの魅力なのではないか。

*1:この辺の考え方は南田勝也の著作におけるロック「場」の考え方に少なからず影響を受けてると思っている。南田勝也『ロックミュージックの社会学青弓社,2001年