5月の5枚。

いい音楽ばかり溢れている。

今月の5+6枚

Linda Perhacs/Parallegrams(US,1970)
 USアシッドフォーク唯一作。その声は美しく儚い。そして優しく沁みる。
 金延幸子はこの辺の流れを引いているのかなあ。


大瀧詠一/大瀧詠一(Japan,1972)
 ポップマエストロ大瀧詠一の原点。はっぴいえんどの世界がまだちらちらと見えている。
 しかし80年代まで連綿と続くナイアガラサウンド、ナイアガラメロディの空気が垣間見える。


Return to Forever/Romantic Warrior(US,1976)
 スペーシーなジャズを超えて、もはやジャズロック。メロディアスなBrand Xを髣髴とさせる。
 羽のように軽やかな空気を纏いながら、エンターテインメントかつスリリング。


ムーンライダーズ/カメラ=万年筆[スペシャル・エディション](Japan,1980/2011)
 ニューウェイヴの時代においても異彩を放っていたのではないか。度肝を抜かれる。
 ボーナスのリミックス集は現代のJ-rock/popシーンを支えるアーティストで溢れている。


Brad Mehldau Trio/Art of the Trio, Vol.1(US,1997)
 しっとりとしていて寡黙な印象のピアノながら、その音はBill Evansのようで雄弁な音。
 こんなに繊細なピアノジャズに出会えていなかったとは。


SPANK HAPPY/Vendome, La Sick KAISEKI(Japan,2003)
 クラブポップで夜のしじまによく似合う。何より岩沢瞳の声がキュート。
 相対性理論あたりのサウンドSPANK HAPPYあたりから来ている気もさせられる。


テニスコーツ/とてもあいましょう(Japan,2007)
 どこか民族音楽調のこともあればアンビエントにも七変化。
 実験的で生温かい水の中をたゆたっているような感覚を覚える。


Otomo Yoshihide's New Jazz Orchestra/LIVE Vol.1 series circuit(Japan,2007)
 静謐と興奮の入り雑じるライヴ作。そこにしかない音の重なり、連なりが聴く者の肌を震わせる。 
 オーケストラという形態をとりながら決して拡がりすぎず、そしてコンパクトになりすぎない。


Alamaailman Vasarat/Songs from Vasaraasia(Finland,2011)
 彼らのエッセンスが詰まった来日記念ベスト。管弦楽メタルとでも形容すべきか。
 メタルにもビッグバンドジャズにも変わる目まぐるしさ、不気味さが何よりの魅力。


ZABADAK/ひと(Japan,2011)
 力強い吉良知彦のヴォーカルが前面に。どっしりしたロックでポップな楽曲群。
 M10「水の行方」の壮大でシンフォニックなサウンドにはただただ圧倒されるばかり。


相対性理論/正しい相対性理論(Japan,2011)
 このユニットは不定形だと、何の気なしにアピールせんばかりの"ミュータント"アルバム。
 新発表3曲とはいえ、波紋を投げかけるだけのエネルギーがここにはある。


次点の5枚

Korpiklaani/Spirit of the Forest(Finland,2004)
 森メタル。酒メタル。邦題はもはやネタながら、しっかり楽しめる。
Beardfish/Mammoth(Sweden,2011)
 Pain of Salvationの前座をつとめたボーナスのライヴ映像がスリリング。


今月の5+2曲

ムーンライダーズ/彼女について知っている二、三の事柄(カメラ=万年筆,1980/2011)
Varttina/Vihma(Vihma,1998)
SPANK HAPPY/Vendome, La Sick KAISEKI(same,2003)
テニスコーツ/ドンナドンナ(とてもあいましょう,2007)
Alamaailman Vasarat/Kyyhylly(Songs from Vasaraasia,2011)
ミルキィホームズ/正解はひとつ!じゃない!!(2010)
ZABADAK/水の行方(ひと,2011)
相対性理論/Q&Q(正しい相対性理論,2011)
幼蚕文庫/冴えないが故に悶える(21世紀新TV時代歌唱,2011)


目の前で見られたVarttinaとAlamaailman Vasaratは衝撃的だった。テニスコーツ/ドンナドンナはもの悲しげなメロディがどこか懐かしい。相対性理論/Q&Qの歌詞はどこまでもあざとい。幼蚕文庫の新曲はどうにもならない行き場のないもやもや感をパンク調にパッケージした爽やかなポップロックに仕上がっている。