センコロールを観たの巻


CENCOROLL 公式サイト

CENCOROLLを観てきた@池袋テアトルダイヤ
今まで観た劇場映画の中で一番短い映画かもしれない。まあそんなことはどうでもいいのであって以下感想とか考えたこととか。


語られない。いろいろなことが。センコが何なのか。最初から日常の中に溶け込む非日常としてセンコは存在している(テツにとっては…だけど)。存在も仕組みも構造も何もわからない。テツがなぜセンコを飼っているのか。なんでシュウが襲ってくるのか。
まるで宇木監督がテツのように多くを語らないかのようにもみえる。実際テツがいつもだるそうなのは監督の性格(熱血は好きじゃないとの談*1 )に由来しているらしいので多くを語らないのも監督の性格やら何やらが投影されているのかもしれない。
とにかくストーリーに必要と思われる装飾がごっそり抜け落ちてただ登場人物と物語の進行だけが存在している。そもそもバックグラウンドが語られるべきものなのか、どんな映画にも本当に設定やら説明は必要かと言われればそうではないだろうが、あまりにも唐突でおそらく観客は初め、何が起ころうとしているのか飲み込めないかもしれない。30分という尺で作るにあたって余計な説明は排したらしいので*2、時間的な制約も含めてストーリーや世界についての説明がないのだろう。
映画を観てふと思い出したのはなぜかカフカの『変身』。関係ないか関係あるかそんなことはわからない。宇木監督は狙っているところもあるだろうし意図せずして進行しているストーリーや設定だってあるかもしれない。ただ非日常が日常の中に突然出現するという点が共通しているのでないかと。しかも気づくと溶け込んでいる。しかも日常の中でも一定の世界(というよりは仲間とかコミュニティ?)の中では何の違和感もなく存在しているのだ。あくまでも変身が室内で展開される物語であるので、センコロールにおいて疑問に思う他人がいるってところは当然『変身』と違うところではある。でも多くを語らないというだけで共通項があるように感じられる。
シュールという言葉はチープなのであまり使いたくはない。不思議な物語。奇妙な生物をめぐる戦闘譚。

*1:パンフレットより

*2:これまたパンフレットより